あんこ椿のパンは、名前を付けるとしたら「老麺法で作った自家製小麦由来酵母種(たね)パン」。長い名前になります。
一般的に生産されているパンは、粉末状の「イースト」と呼ばれる市販の酵母菌を使用しています。また「天然酵母パン」の名を冠したものの多くは、「市販の天然酵母」の粉末を入れて生産されています。こうした市販の酵母は(大量生産のため)特定の酵母だけを培養して作られます。
対して、市販品でないオリジナルのものは「野生酵母」などという表現がされることもあります。
あんこ椿のパンの酵母は市販品でなく、自社製の完全オリジナル酵母です。このあんこ椿オリジナルの酵母は、愛知県食品工業技術センターにも保管されています。
パンの源流・起源
ご存じの方もあるでしょうが、パンが生まれたのは古代エジプト文明時代と言われます。
パンの原型は、紀元前6000~4000年頃の古代メソポタミア文明にあり、小麦粉を溶いて平たく延ばし焼いていたようです。現在でいうところの、インド料理のナンに似ています。
紀元前4000~3000年頃、古代エジプト文明では「発酵」させて焼く「膨らんだパン」へと変化し、世界中に広がっていったと言われます。
─── 古代エジプト文明の日常を思い浮かべてみましょう。
いつものように食事の準備をしていたある日。いつも使っている器で、小麦粉に水を加えて練ったものを置いておいたら、ぷくんと膨らんでいる? ことに気が付きます。きっととても驚いたのではないかと思います。
どうして生地が膨らんでいたかもわからないまま、そのまま焼いてみたら、もっと膨らんで … これまでのナンのような塊でなく、ふんわりとしたおいしい新しい食べ物になりました。
パンの誕生です!
それが一気にヨーロッパに広がり、パン文化が始まりました。
発酵という現象の発見・利用
どうして、小麦粉を溶いて練ったものが膨らんだか。それは小麦の中にいた酵母が増えて発酵したからです。その容器の中でたまたま増えたことで、たねを膨らませるだけのチカラを得たのです。
当時は当然酵母だけを抽出して保存したり乾燥させる技術はなく、同じようにパンを作り続けるためには、パンの元たねを一部取り出して、小麦と混ぜて、膨らませて焼いて、元のパンだねは種継ぎをしていたと想像できます。
酵母が増えているパンのたね(小麦を水と練った状態)をまるでウナギのタレのように、使っては足して引き継ぐことを中国では老麺法といいます。中国のマントウなどもこうした方法で造られています。つまり元たね(老いた生地)の継承手法ということです。
あんこ椿のパンだねは、20年近く種継ぎをして使用しています。このたね継ぎの結果、強い酵母が増えることで、よりデンプンを分解する力を高め、分解された小麦のデンプンは糖に変わることで、独特の深い味わいが生まれます。
深い風味を感じられるパン
あんこ椿のパンは、流行りの食パンのようなふわふわのパンでもありませんが、堅いフランスパンのようなハード系のパンでもありません。たとえば、市販のパンと同じサイズであるとしたら、小麦粉の量は2倍。つまり倍の大きさのパンを食べたことに匹敵します。
言い換えれば市販のイーストを使用したパンのようなふわふわな生地でなく、どっしりとした重さとしっかりした食感、深い風味のパンとなります。そして、焼いてから熟成するパンでもあります。
主役であるパンとして
たとえばハンバーガーにしても、サンドイッチにしても、多くは、その具の美味しさがメインでパンは主役でない場合が多いですね。それはちょうど牛丼でご飯が主役でないのと同じ。あんこ椿のパンは、パンが主役です。
かと言ってそのまま食べるに限るということでなく、焼いて、バターを塗ったり、ハムや野菜を挟んでもとても美味しいパンです。しかし、それでもパンが主役。パンの美味しさを生かす食べ方であると言えます。
焼成と急速冷凍
あんこ椿のパンは、焼き立てを急速冷凍することで、解凍して焼いたときに焼き立ての美味しさを再現する独自の手法で保管しています。
焼き立てパンは美味しいのはもちろんですが、お客様が必ずしも焼き立てに合わせてお越しいただくことはできません。
そこでこうした急速冷凍による方法を用いることで、どなたもがこの美味しさや風味を味わっていただくことができます。
冷凍状態であれば、遠方に送ることも、また自宅で冷凍庫でストックをしていただき、食べたいときに解凍するということも可能になります。また解凍後も冷蔵庫での保存もできます。そして、数日で生地が落ち着き、熟成が進むことでより味わいが深まります。
また放置しておいて少し堅くなった場合も、軽く濡らすか霧吹きしてトーストすることで、驚くほどに、元に戻ります。
パンの種類
プレーンパン
まさにあんこ椿のメインのパンです。解凍してお召し上がりください。
お好みで、カットして軽くトーストをいただき、少しのバターなどを塗っていただきお召し上がりいただけると、本質的なこのパンの味わいを感じていただけます。
加えて、プレーンパンは、野菜やハム、そしてチーズや、ビーフシチューなどとともにお召し上がりいただくこともオススメしています。またワインなどにもよく合います。
レーズンパン
レーズンパンが苦手という人は結構いますが、このレーズンパンを食べてレーズンパンが好きになったという人はこれまでたくさんみえます。どうしてかと言えば、レーズンをただ練りこんでいるのではなく、レーズンをラム酒に漬け込んで、細かく刻んで、パン生地に練りこんでいるからです。レーズンの独特なフレーバーと甘さとともに、ラム酒の香りがパン生地となじんで、外側はカリッと中はしっとりとしたパンになります。これは是非お試しいただきたいパンです。
こうしたことから、あんこ椿パンは絶対プレーン派という方と、ラム酒レーズンパンが好きという方に分かれます。
甘みから、お子様にはもちろんレーズンがお気に召すようです。
こんにゃくパン
こんにゃくパンは、プレーン生地にこんにゃくの粉を練りこんだ繊維質たっぷりのパンです。
こんにゃくが入ることで、モチモチ感がより強くなります。こんにゃくのアリナシに関係なく、このもっちり食感が好きという方がいます。
その他のパン
常に焼いてあるわけではないですが、人気はイチジクくるみパン。
いちじくのたねの食感と甘みとくるみの香ばしさが入り混じって、パンの美味しさを引き立てます。
原材料について(プレーンベース)
厳選した小麦粉の自家ミックス(国産)・粗製三温糖(サトウキビから生成されるミネラルたっぷりのお砂糖)・粟国の塩(ミネラルたっぷりの天然塩)・水
とてもシンプルな原材料だからこそ、一つ一つにこだわって生産をしています。